紅茶教室を開設して8年。「お茶の産地ってどんな所だろう?どんな人たちが作っているのだろう?」そんな思いから、年に数回夫婦で紅茶産地を訪れる旅をしています。
紅茶に関わる仕事をしている人々、子供達の生活に触れ、英国的な華やかな紅茶のイメージとはまた異なる産地の現実に直面し、最初はとても戸惑いました。「1日100円に満たない給料」「学校に行かず親の手伝いをしている子供達」・・・茶園はまるで下界と隔離された別世界でした。英国の植民地支配により確立した茶園は、国が独立したあともその影を引きずっています。
茶園の労働者は1つの村に住んでいます。家賃はありませんが、共同トイレもなければ、電気も水道もありません。彼らは朝から晩まで茶園で働き、一日約20キロの茶葉を摘みます。しかし、それに対してもらえるお金はわずか100円ほど。賃金は国の茶園協会で決められており、どこにいっても茶園で働く人々の収入はほぼ同じです。彼ら茶園で働く人々の生活はまさにハンド・ツゥー・マウス(手から口)、何とか今日食べることで精一杯なのです。ノルマを超えて茶葉を摘めれば、1キロに対し追加の賃金がもらえます。そのため、幼い子供達も母親の手助けをするために茶摘みをしている現実があります。
当然、村に学校などなく、親も文字を読んだり書いたりすることはできません。もちろん子ども達も教育をうけたことなどないので、彼らは奴隷同然の安い賃金で働き、一生茶摘みをしてその日暮しを続けるしか他に方法はないのです。
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